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「察する力」が強い職場ほど、なぜ疲弊するのか?

ブログ

2026.05.23

「察する力」が強い職場ほど、なぜ疲弊するのか
〜介護現場の“優しさ依存”を構造から考える〜
介護現場では昔から

「気づいて動ける人が良い職員」

と言われてきました。

もちろん、それ自体はとても大切な力です。

利用者様の小さな変化に気づく
言葉にならない不安を察する
忙しい中でも周囲を見て動く

これは介護の価値そのものでもあります。

ですが最近、現場支援や研修を続ける中で、私はあることを感じています。

それは、

「察する力」が強い職場ほど、逆に疲弊しているケースがある

ということです。


「言わなくてもわかる」が増えると、職場は苦しくなる
介護現場は忙しいです。

だからこそ、

これくらいわかるだろう
見れば気づくはず
空気を読んで動いてほしい
何度も言わせないでほしい
という文化が生まれやすくなります。

すると何が起きるのか。

“察することができる人”に負荷が集中します。

そして、察することが苦手な人は

気が利かない人
配慮が足りない人
やる気がない人
として扱われてしまうことがあります。

ですが本当にそうでしょうか。


問題は「人」ではなく「構造」にある
私は最近、現場の問題を

「個人の能力」

だけで捉えないようにしています。

なぜなら、多くの問題は

“構造”

によって生まれているからです。

例えば、

役割が曖昧
判断基準が共有されていない
優先順位が人によって違う
指示が感覚的
教える人によって言うことが違う
頑張りが言語化されない
この状態では、現場は「察するゲーム」になります。

つまり、

“正解が見えない状態で空気を読む”

ことが求められるようになるのです。

これは非常に疲れます。


優しい人ほど消耗する理由
介護現場には優しい人が多いです。

だからこそ、

相手を責めない
自分が我慢する
自分が動けば早い
波風を立てたくない
という行動が起きやすい。

すると一時的には現場が回ります。

ですが長期的には、

「できる人だけで支える構造」

になります。

結果として、

一部の人だけが疲弊する
新人が育たない
人によって質が変わる
不満が蓄積する
“なんとなくギスギス”する
という現象が起きます。

これは誰かが悪いわけではありません。

“優しさだけで回そうとした結果”

なのだと思います。


本当に必要なのは「察し合い」ではなく「共有」
最近、私は研修の中でも

「察してください」

ではなく

「共有しましょう」

という話をすることが増えました。

例えば、

何を大切にしているのか
なぜその対応をするのか
どこを優先するのか
どの状態を“良い介護”と考えるのか
これらが共有されるだけで、現場はかなり楽になります。

つまり、

“人に依存しない”

のではなく、

“構造で支える”

という考え方です。


介護は「気合い」だけでは続かない
介護は尊い仕事です。

ですが、

「良い人が頑張ることで成立する職場」

は、長続きしません。

だからこそ必要なのは、

判断基準を整える
役割を明確にする
話しやすい環境を作る
頑張りが報われる構造を作る
“察しなくても回る状態”を増やす
という視点なのだと思います。


最後に
私はこれまで約30年、介護現場に関わってきました。

その中で強く感じるのは、

現場の問題は
「誰かの性格」ではなく、
「構造の未成熟」から起きていることが多い

ということです。

人を責める前に、

なぜそうなったのか
どんな構造がそうさせているのか
どうすれば自然に良く回るのか
を考える。

それだけでも、現場の見え方は大きく変わります。


個別相談について
現在、

職員間のコミュニケーション
離職や人間関係
評価制度
リーダー育成
チームづくり
“なんとなく回らない”現場の整理
などについて、個別相談を行っています。

「何が問題かわからないけど、現場に違和感がある」

そんな段階でも大丈夫です。

現象を整理しながら、
“人”ではなく“構造”の視点で一緒に考えていきます。

ご相談をご希望の方は、ホームページのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。


株式会社柔気
代表 平光竜也

「福祉に関わる人が、安心して働き、成長し、未来を描ける職場へ
そのための構造を整える伴走者です」

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